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40.プリントトーン決定法 [写真表現]

モノクロのトーンを変えました。
「元に戻った」と言ったほうが良いかもしれません。

 
 
これまでずっと「昔の味」を守ってるつもりだったんですが、
いつの間にか、少しずつ濃いめになっていたことに気付きました。
 
 
結論から先に言うと
黒がどれだけ薄くても成立するか、で行きます。
 
 
ベタ黒にツブレた黒は、たしかにすごくインパクトがあります。
けれどそれは、ただのインパクトにすぎません。
実際そこには、何かが見えてたはずで、プリント時に操作しています。
 
 
もちろん、プリント時に操作すること自体が悪いことではありません。
ただ、それを「見た感じとは異なる」と、はっきり意識しているかどうか
それが大事なんだと思います。
 
 
他を引き立てるための黒。
しかし、その黒は、それで終わってしまっている。
なんだかもったいない。少しかわいそうに感じる黒。
 
 
ギリギリまで明るくしていくと、ハイライト部分が危なくなってきます。
ハイライトが飛ばないギリのところで決めてしまうやり方は簡単ですが
これを、黒が輝きを失うギリのところで決めてしまう方法に変更しました。
ハイライトが危なければ少し焼き込めばOK。
シャドーが危なければ少し焼き込めばOK。
 
 
暗室作業経験の有無が、フォトショップの作業にも出てきます。
フィルター1〜2で焼いたあと、0で足したり3で足したり…
それぞれ「ハイライトに乗せる」「シャドーを締める」
その感覚が、まんまフォトショップにもあります。
 
 
有名演歌歌手の歌と、歌の上手な人がカラオケで真似て歌う歌
どちらも同じようなはずなのに、前者のほうが気持ちイイ…
それは、本物に触れているからだと思います。
 
 
ネットや写真集ばかりで「写真を知っている」気になっていると
ある程度までは行きますが、そこから先はなかなか難しい。
反対に、ナマのプリントに触れる機会の多い人は、そこは
あっさりクリアして先に進んでいきます。
 
 
「わかっている」と「できる」…この違いって、おもしろいですね。
 
 
 
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39. それを言っちゃ… [写真表現]

 
 
 
よく言うことですが
 
「走れメロス」のラストシーンで感極まった主人公が
 
「いやぁぁぁ、友情ってホント、いいもんだなあ!大事にしないとなあ!」
 
と言ってしまったら、どうでしょう?
 
 
 
 
 
それ伝えるために、このお芝居があるんじゃなかったっけ?
 
だから必死で走ったんだよね?
 
なのに最後、テーマを言っちゃっていいの?
 
それは「感じてもらう」んじゃないの?
 
 
 
 
 
思わず「オレの2時間を返せ〜」って言いたくなります。
 
 
 
 
 
 
 
写真も同じこと。
 
近年「ちゃんと伝わってるか」コミュニケーションに不安な人が増え
 
写真と文章の組み合わせで何か伝えることも多くなりました。
 
 
 
 
 
だけど実は写真だけでも、いろんなことやものが伝わったり想像喚起できちゃう。
 
そういう「写真の力」を知らない人が、まだ多い。
 
あるいはご自身でやっているのに、自身の写真の力を信用していない…
 
そんな状況を見ることがあります。
 
 
 
 
 
イラストや挿絵のように使われる写真。
 
CDジャケットや絵はがき、ポスターやカレンダーのような写真。
 
 
 
それらは見慣れていて、とても安心できます。
 
 
 
 
 
そういう写真を見ると、ああ、うまい写真だなあ…
 
そういう写真を撮る人を、ああ、この人は写真が上手だなあ…
 
評価に狂いなく、ほぼ全員から同様の感想が届きます。
 
 
 
 
 
あなたはマイスターになりました。
 
 
 
 
 
ところで、あなたらしい、
 
あなたの視線が感じられる写真って
 
どんなですか?
 
 
 
いや、言葉による補整は要らないから
 
写真だけ見せて下さいよ。
 
 
 
それとも「写真+文」のマイスターさん、ですか?
 
 
 
 
 
 
 
かつて流行った、かつて評価された写真の流儀を守り
 
「写真はこうでなくちゃ」と決めてかかってると
 
何を見ても同じようにうまく撮れるようになって
 
そのうち自分の写真に飽きちゃいますよ。
 
同じような写真が氾濫してるの、もううすうす気付いてるでしょう?
 
 
 
 
 
 
 
一度自分のスタイルができてしまうと、なかなか壊しにくい。
 
けれど壊してこそ、自分の知らない自分が見えてくる。
 
それを壊すのは、自分しか居ません。
 

 
 
 
 
 
 
 
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なぜ撮ったのか、作者は何を言いたいのか…
 
一所懸命考えても何も見えてきません。
 
むしろ考えれば考えるほど見えなくなってしまう
 
そういう写真も存在するんです。
 
 
 
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